水溶性ビタミンについて

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ビタミンとは

ビタミンにはさまざまな種類が存在しており、それぞれ化学的性質、およびそれによる生理作用や化学構造が異なります。分類上では有機溶媒や油に溶けやすい「脂溶性ビタミン」と、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」の2つに大別されています。

ビタミンは有機溶媒や油に溶けやすい「脂溶性ビタミン」と、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」の2つに大別

今回は水溶性ビタミンであるビタミンB1、B₂およびビタミンCについて、機能と検査法の概要をご紹介します。

ビタミンB1

ビタミンB1はチアミンとも呼ばれ、ビタミンの中では一番初めに発見されました。豚肉、酵母、ごま、にんにく、豆類などに多く含まれ、人の体内ではグルコースや分枝アミノ酸の代謝に関わっています。

ビタミンB1の過剰摂取については、通常の食生活では発生しないと考えられています。一方で欠乏した場合には、疲労や記憶力低下、糖質代謝障害などの症状が現れます。欠乏の程度が酷くなると、脚気(全身の倦怠感、食欲不振、足のむくみやしびれ、動機、息切れなど)やウェルニッケ-コルサコフ症候群(眼球運動障害、意識障害、ふらつきなど)、乳酸アシドーシス(嘔気嘔吐、呼吸障害、昏睡、心原性ショックなど)といったビタミンB1欠乏症になる恐れもあります。

また、ビタミンB1の欠乏によって引き起こされる脳のグルコース代謝の低下および認知障害は、アルツハイマー型認知症の症状と類似しており、ビタミンB1がアルツハイマー型認知症に関与している可能性が示唆されています。

ビタミンB1の測定は食品から塩酸で抽出した抽出液を加熱処理し、食品中のビタミン分解酵素を失活させます。酵素を加えて一晩反応させた後、結合型のビタミンをすべて乖離させて得られた抽出液を酸化してチオクロームにし、蛍光検出器付液体クロマトグラフにより定量します。

ビタミンB2

ビタミンB2はリボフラビンとも呼ばれ、動物の肝臓、酵母、卵、うなぎ、小麦胚芽、糸引納豆などに多く含まれます。ヒトの体内では補酵素としてエネルギー代謝や物質代謝、特にTCA回路、電子伝達系、脂肪酸のβ酸化等のエネルギー代謝に関わっています。

ビタミンB2の過剰摂取についてはビタミンB1と同様、通常の食生活では発生しないと考えられています。一方で欠乏した場合には、成長抑制を引き起こすほか、口内炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎などの炎症が起こります。慢性的な炎症は腫瘍の発生と進行を引き起こす可能性があること、ビタミンB2は炎症の調節に関与していることから、近年はビタミンB2の摂取によるがん細胞の増殖抑制効果が期待されています。

ビタミンB2の測定は食品から塩酸で抽出した抽出液を加熱処理し、食品中のビタミン分解酵素を失活させます。酵素を加えて一晩反応させた後、結合型のビタミンをすべて乖離させて得られた抽出液を蛍光検出器付液体クロマトグラフにより定量します。

ビタミンC

ビタミンCはL-アスコルビン酸とも呼ばれ、パセリ、こまつな、ほうれんそう、柑橘類、いちご、緑茶などに多く含まれます。人の体内ではコラーゲンの生合成、生体異物や脂肪酸の代謝、コレステロールの胆汁酸への代謝などに関わっています。

過剰摂取については、通常の食生活では発生しないと考えられています。一方で欠乏した場合には、コラーゲンが生成できず、血管がもろくなり、ビタミンC欠乏症である壊血病(疲労や倦怠感、いらいら、顔色が悪くなる、皮下や歯茎からの出血、貧血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難など)を引き起こす恐れがあります。

また、ビタミンCは人の体内の活性酸素種を消去する役割(抗酸化作用)も持っています。活性酸素種は呼吸、過度な運動、ストレス、紫外線、喫煙、大気汚染などさまざまな要因で産生される物質で、免疫としての機能や、細胞間の情報伝達や遺伝子発現の調整などの役割を持ちます。その一方で、増えすぎると正常な細胞や組織を攻撃して酸化させ、免疫機能の低下や老化、シミやシワ、動脈硬化、がんなどを引き起こします。

活性酸素種の産生が抗酸化力を上回ると酸化ストレス状態となり、酸化ストレスが亢進すると、神経疾患、ひいては心の不調や病気にも繋がります。そのため、抗酸化作用をもつビタミンCは、私たちの心身の健康において欠かせない成分であるといえます。

ビタミンCの測定は食品に5%メタリン酸を加え、除タンパクすると同時にL-アスコルビン酸を抽出します。抽出液に誘導体化処理を行い、可視光領域に吸収を持つ、L-アスコルビン酸オサゾンに変えた後、可視光検出器付液体クロマトグラフにて定量します。

酸化ストレス状態
種類 多く含む食品 欠乏した場合
ビタミンB1 豚肉、酵母、ごま、にんにく、豆類 疲労、記憶力低下、糖質代謝障害、脚気、ウェルニッケ-コルサコフ症候群、乳酸アシドーシス など
ビタミンB2 動物の肝臓、酵母、卵、うなぎ、小麦胚芽、糸引納豆 成長抑制、口内炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎 など
ビタミンC パセリ、こまつな、ほうれんそう、柑橘類、いちご、緑茶 コラーゲン不生成、血管の劣化、酸化ストレス、壊血病 など

ビューローベリタスエフイーエーシーでは、ビタミンについて検査を実施しております。検査の詳細につきましてはお気軽にご相談ください。

参考文献

  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)水溶性ビタミン」
  • 長澤治子(2017)食べ物と健康 食品学・食品機能学・食品加工学 第3版
    Gibson, G. E., Hirsch, J. A., Fonzetti, P., Jordan, B. D., Cirio, R. T., Elder, J.(2016)Vitamin B1 (thiamine) and dementia. Annals of the New York Academy of Sciences. 1367(1), 21-30.
    Mikkelsen, K., Prakash, M. D., Kuol, N., Nurgali, K., Stojanovska, L., A postolopoulos, V.(2019)Anti-Tumor Effects of Vitamin B2, B6 and B9 in Promonocytic Lymphoma Cells. International Journal of Molecular Sciences. 20(15), 1-18.
  • 阿部 皓一(2021)抗酸化ビタミンのヒト研究の最新情報 酸化ストレスに対する抗酸化ビタミンの働き. 化学と生物. 59(12), 612-621.

→ 成分分析