食物アレルギー表示に関する最新動向(特定原材料に準ずるものへの追加削除)

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【更新内容:2024年4月15日】
2024年3月29日、消費者庁は食品表示基準の改正を発表しました。(食物アレルギー表示推奨品目としてマカダミアナッツが追加、まつたけは削除されました)

2023年12月23日の「第6回 食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議」で、食品表示基準を2023年度内に改正する方針を消費者庁が決定しました。消費者庁は、食物アレルギーを引き起こす原材料をあげ、加工食品のパッケージへ表示を義務付けまたは推奨していますが、今回この品目について改正されます。

改正内容は下記の2点です。

「特定原材料に準ずるもの」へ「マカダミアナッツ」を追加

「特定原材料に準ずるもの」より「まつたけ」を削除

「マカダミアナッツ」を追加

直近2回の全国実態調査で、「マカダミアナッツ」の即時型症例数は18位(2018年)、13位(2020年)と上位20品目に入りました。流通実態調査より、輸入量は2020年において2571tで、くるみ・カシューナッツと比較すると緩やかではありますが2011~2020年にかけて増加傾向にあるとしています。

さらに477社が回答した加工食品の調査では、「マカダミアナッツ」の使用は57社87商品で、半数が2022年以降に発売されたものでした。商品数の増加にともない、原型がない状態としてペースト状や油脂、油出物、添加物に含まれるなど、目視では確認できないものも増えています。また諸外国において、米国、EU、スイス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどが「マカダミアナッツ」を食物アレルギー表示としての木の実類に含めています。

このように即時型症例数・ショック型症例数の増加、輸入量も増加傾向にある点や、加工食品における使用実態などを踏まえ、追加が適当と判断されました。

「まつたけ」を削除

特定原材料に準ずるものの対象とする考え方として、以下の点をあげています。

対象品目から削除する際の考慮事項

  • 即時型症例数で上位20品目にはいっていない
  • ショック症例数が極めて少数である

直近4回の全国実態調査の結果において、「まつたけ」はこれに該当するとして、削除することを決定しました。

特定原材料に準ずるもの(通知で措置)

改正前 改正後
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

消費者庁は、「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号消費者庁次長通知)を2023年度内に改正し、食品事業者へできるだけ速やかに表示を見直すよう促すとしています。

特定原材料「くるみ」の施行期限

2023年3月9日の食品表示基準の改正により、特定原材料(アレルギー表示が義務となる食品原材料)に準ずるものとして推奨表示であった「くるみ」を特定原材料としました。「くるみ」の表示義務は、2年間の猶予期間が設けられており、2025年4月1日より完全施行されます。

くるみは輸入数も18,826tであり、多くの加工食品に含まれています。食品関連企業は施行期限に注意してください。

食物アレルギーの表示に関する変遷

2001(平成13)年3月 アレルギー物質を含む食品の表示制度を創設
○食品衛生法に基づく厚生労働省令を改正 (平成13年3月15日公布、同年4月1日施行(14年3月31日まで経過措置) ・特定原材料(義務) 5品目(乳、卵、小麦、そば、落花生)
○特定原材料に準ずるもの(推奨) 19 品目を通知で規定
2004(平成16)年12月 特定原材料に準ずるものに「バナナ」を追加《義務5品目・推奨20品目》
2008(平成20)年6月 特定原材料に準ずるものであった「えび」、「かに」を義務表示である特定 原材料に移行《義務7品目・推奨18品目》
2009(平成21)年9月 消費者庁設置
2013(平成25)年9月 特定原材料に準ずるものに「カシューナッツ」、「ゴマ」を追加《義務7品目・ 推奨20品目》
2013(平成25)年9月 食品表示法施行
2019(令和元)年9月 特定原材料に準ずるものに「アーモンド」を追加《義務7品目・推奨21品目》
2023(令和5)年3月 特定原材料に「くるみ」を追加《義務8品目・推奨20品目》
※経過措置期間:2025年(令和7年)3月31日まで
2024(令和6)年
~改正予定~
特定原材料に準ずるものに「マカダミアナッツ」を追加
特定原材料に準ずるものより「まつたけ」を削除
《義務8品目・推奨20品目》

参考:第5回 食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議(資料2)

なお消費者庁は、既に特定原材料に準ずるものである「カシューナッツ」についても、症例数の増加等が認められるとして可能な限り表示をすることを努めるよう周知しており、第5回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議(2023年6月14日)では「特定原材料」への追加に向けた検討を着手するとしています。

ビューローベリタスエフイーエーシーは、アレルギー表示義務である特定原材料8品目および推奨表示20品目に関し、通知された検査方法(平成22年9月10日消食表第286号)に準じ、食物中の含有検査をいたします。

3days report シリーズ

食物アレルギー含有検査は、土日祝日を含む3日で実施・ご報告します(3days report)

*検体受付日を0日とし3日目にご報告します(年末年始を除く)
*追加最終濃度特定検査、ウェスタンブロット法を除く
*ご依頼検体数、検体の状態、混雑状況等により追加でお時間をいただく場合があります
*異なるアイテムをELISA法で実施する場合は5日目にご報告します

参考

→ 食物アレルギー含有検査