遺伝子組換え食品の表示と検査について

投稿日:

遺伝子組換え食品とは

遺伝子組換え食品とは生物の品種改良技術の一つで、農作物の遺伝子の一部を入れ替えることで病害虫や除草剤への耐性強化などの人間が意図する条件を付与させた作物と、その作物を原料とした加工食品です。
遺伝子組換え作物はその耐性により、農作業の手間を減らし、収穫量の増加を図ることができます。
遺伝子組換え作物は食糧問題や環境保全にメリットがありますが、遺伝子組換え食品を喫食することで健康や環境に対する問題を引き起こすことがあってはなりません。
そのため、食品衛生法、食品安全基本法、飼料安全法、カルタヘナ法(遺伝時組換え食物の生物多様性に関する法律)などに基づき、遺伝子組換え食品の科学的評価を行い、問題ないもののみを輸入、流通、栽培等できる仕組みとなっています。

遺伝子組換え食品の表示について

義務表示対象の農産物と、それを原材料とした加工品が「食品表示基準 別表第17」に示されています。

食品表示基準 別表17
対象農産物 加工食品
大豆(枝豆および大豆もやしを含む)
  1. 豆腐・油揚げ類
  2. 凍り豆腐、おからおよびゆば
  3. 納豆
  4. 豆乳類
  5. みそ
  6. 大豆煮豆
  7. 大豆缶詰および大豆瓶詰
  8. きなこ
  9. 大豆いり豆
  10. 1から9までに掲げるものを主な原材料とするもの
  11. 調理用の大豆を主な原材料とするもの
  12. 大豆粉を主な原材料とするもの
  13. 大豆たんぱくを主な原材料とするもの
  14. 枝豆を主な原材料とするもの
  15. 大豆もやしを主な原材料とするもの
とうもろこし
  1. コーンスナック菓子
  2. コーンスターチ
  3. ポップコーン
  4. 冷凍とうもろこし
  5. とうもろこし缶詰およびとうもろこし瓶詰
  6. コーンフラワーを主な原材料とするもの
  7. コーングリッツを主な原材料とするもの(コーンフレークを除く。)
  8. 調理用のとうもろこしを主な原材料とするもの
  9. 1から5までに掲げるものを主な原材料とするもの
ばれいしょ
  1. ポテトスナック菓子
  2. 乾燥ばれいしょ
  3. 冷凍ばれいしょ
  4. ばれいしょでん粉
  5. 調理用のばれいしょを主な原材料とするもの
  6. 1から4までに掲げるものを主な原材料とするもの
なたね
綿実
アルファルファ
アルファルファを主な原材料とするもの
てん菜 調理用のてん菜を主な原材料とするもの
パパイヤ パパイヤを主な原材料とするもの
からしな

2023年4月からは遺伝子組換え食品の新しい表示制度が始まりました。

義務表示

1)遺伝子組換え農産物およびそれを加工品の原材料とした場合、原材料の農産物に「(遺伝子組換え)」の表示を行う必要があります。

表示例

名称:豆腐
原材料名:大豆(遺伝子組換え)(アメリカ産)、…

2)遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物を区別していない場合およびそれを加工食品の原材料とした場合、原材料の農作物に「(遺伝子組換え不分別)」の表示を行う必要があります。

表示例

名称:豆腐
原材料名:大豆(遺伝子組換え不分別)(アメリカ産)、…

任意表示

農産物およびこれらを原材料とした加工食品について、遺伝子組換え農産物が混入しないように分別生産流通管理されたことを確認したものを使用している場合は、その旨を表示することができます。

1)管理をして意図せざる混入率を5%以下に抑えている大豆およびとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品。

表示例

名称:豆腐
原材料名:大豆(分別生産流通管理済)(アメリカ産)、…

一括表示枠外の容器包装の見やすい箇所に原材料名に対応させて表示することもできます。

表示例

名称:豆腐
原材料名:大豆(アメリカ産)、…
原材料に使用している大豆は遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っています。

2)分別生産流通管理をして遺伝子組換え農産物の混入がないと認められる対象農産物を原料とする加工食品。

表示例

名称:豆腐
原材料名:大豆(遺伝子組換えでない)(アメリカ産)、…

表示条件としての第三者分析機関による分析

消費者庁の任意表示制度Q&Aにおいて、「遺伝子組換えでない」と表示するための条件として、「適切に分別清算流通管理を実施し、遺伝子組換え農産物の混入がないことを確認した非遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品」であることとしています。
この確認方法のひとつとして「第三者分析機関等による分析」が挙げられています。

遺伝子組換え作物(GMO)検査

ビューローベリタスエフイーエーシーでは遺伝子組換え作物(GMO)検査を実施しています。
米国 FoodChain ID(旧Genetic ID)社の測定法により検査を実施します。
FoodChain ID法は検査可能な品種が広範囲にわたることが特徴です。行政法で通知されている大豆、コーン、ジャガイモ、パパイヤ、米、菜種(一部)、亜麻以外に、綿実、トマト、ビート、 アルファルファ等の遺伝子組換え作物も検査が可能であり、通知法では対象としていない品種の検知にも対応しています。
ビューローベリタスエフイーエーシーは、日本で唯一、FoodChain ID社の技術を用いて検査が可能な分析機関です。

この検査には定性検査と定量検査があります。検査方法の概要は下記のようになります。

定性検査

検体から抽出したDNAから、DNAポリメラーゼ、遺伝子組換え体に特異的なプライマー対を用い、PCRを行います。その後、電気泳動、紫外線照射下での可視化を行い、予想される長さのPCR産物が得られるか否かにより、試料中に遺伝子組換え体が含まれていたかを判定すると同時に、抽出したDNAがPCR増幅に適していることを確認するために、農産物に対応する内在性遺伝子検知用プライマー対を用いたPCRを行い、目的のPCR産物が得られることを確認する方法で検査を実施しています。

定量検査

GMO含有量を測定する手段として、リアルタイムPCRを利用します。内在性遺伝子のコピー数を基準として、検体のGMO遺伝子のコピー数を求めることにより、相対的なGMO含有量を測定します。

また、遺伝子組換え大豆については食品表示基準に示されている通知法による検査も対応しています。
検査に関する詳細についてはお問い合わせください。

3days report シリーズ

遺伝子組換え作物(GMO)検査は、土日祝日を含む3日で実施・ご報告します(3days report)

*検体受付日を0日とし3日目にご報告します(年末年始を除く)
*特異定性検査、品種特定検査を除く
*ご依頼検体数、検体の状態、混雑状況等により追加でお時間をいただく場合があります
*異なるアイテムをELISA法で実施する場合は5日目にご報告します

関連コラム

参考

→ 遺伝子組換え作物(GMO)検査