輸出に必要な食品検査

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増える日本の農産物・食品の輸出

農林水産物や食品の輸出額は、近年着実に増えています。

農林水産省は「2023年の農林水産物・食品の輸出実績」を取りまとめ、2024年1月に発表しました。これによると、2023年の農林水産物・食品の輸出額は、過去最高の1兆4,547億円、2022年比では2.9%の増加、額では407億円の増加となりました。

農産物:
9,064億円(対前年比+2.3%)
林産物:
621億円(対前年比▲2.7%)
水産物:
63,901億円(対前年比+0.7%)
少額貨物:
961億円(対前年比+25.2%)

上半期はアフターコロナ下の外食機会増加と、円安も追い風となり輸出が増加(+9.6%)、下半期ではALPS処理水放出に伴い中国向け輸出が減少したとしています。

輸出先は、1位:中国、2位:香港、3位:米国。
品目としては、世界的な日本食ブームや健康志向・ヘルシー志向などから、この10年間で緑茶の輸出量が大幅に増加し、欧米を中心に輸出先も拡大しています。米国では洋菓子やカフェメニューのフレーバーとして「粉末状の緑茶」、一方EUの一部の国や台湾ではリーフ茶を好む方も多く、「その他の緑茶」の輸出が増加しています。

牛肉やソース混合調味料なども増加しています。これは、海外における日本食レストラン出店数の増加、外食を通じた家庭での日本食の浸透により需要が増加していると考えられています。また日本のアニメを通じて日本食人気から、今後さらに輸出量は増えると見込まれています。

政府は、海外のニーズに対応できるよう「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を策定し、2030年までに5兆円を達成すること目標としています。また、輸出事業者を支援する「輸出支援プラットフォーム」を設置し、現地からサポートしています。

グラフ画像で説明:2030年までに5兆円を達成することが目標の策定「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」

輸出に際して求められる対応(食品における主なもの)

栄養成分表示

輸出国ごとに食品ラベル表示の内容が決まっています。表記項目は国ごとに異なるため、輸出先に合わせ必要な検査を実施する必要があります。

その他、農林水産省がまとめた「日本国内の輸出に係る制度」より、主な対応を抜粋します。

海外の残留農薬基準への対応

輸出先国・地域と日本で使用可能な農薬成分の残留基準値が異なることから、日本の残留農薬基準値を満たしていても輸出先国・地域の残留農薬基準値を満たせずに輸出できない場合があります。

食品添加物規制への対応

食品を輸出するにあたっては、輸出先国の食品添加物規制に対応する必要があります。

放射性物質検査証明書、産地証明書

2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故により、日本の農林水産物・食品に対し放射性物質に係る規制を実施している国・地域があります。輸出先国によっては、一部の都県等を対象に輸入停止措置を講じていることや一部またはすべての都道府県を対象に検査証明書等(放射性物質検査証明書、産地証明書等)を要求していることがあります。

ビューローベリタスエフイーエーシーでは、海外輸出向けの食品検査として「成分分析」「放射能測定」「微生物検査」「重金属・有害物質検査」「残留農薬検査」を実施しています。
検査結果は、日本語または英文結果報告書で作成いたします(両言語の報告書が必要な場合はオプション1,210円(税込))。

栄養成分

ビューローベリタスエフイーエーシーでは、輸出先ごとに分析セットをご用意しています。価格についてはお問い合わせください。下記表記のない国への輸出については、ご相談ください。

成分分析セット 検査項目 所要
日数
必要量
(目安)
シンガポール向け(生鮮食品以外) エネルギー、水分、灰分、炭水化物、たんぱく質、脂質、ナトリウム、食物繊維、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、糖類 7 300g以上
EU向け エネルギー、水分、灰分、炭水化物、たんぱく質、脂質、ナトリウム、食物繊維、飽和脂肪酸、糖類 7 300g以上
米国向け エネルギー、水分、灰分、炭水化物、たんぱく質、脂質、ナトリウム、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、食物繊維、糖類、ビタミンD、カルシウム、鉄、カリウム 20 50g以上
香港向け エネルギー、水分、灰分、炭水化物、たんぱく質、脂質、ナトリウム、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、糖分(単糖と二糖類) 7 300g以上
カナダ向け エネルギー、水分、灰分、炭水化物、たんぱく質、脂質、ナトリウム、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、食物繊維 *プロスキー法、糖類、カルシウム、鉄、カリウム 7 300g以上
台湾向け エネルギー、水分、灰分、炭水化物、たんぱく質、脂質、ナトリウム、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、糖類 7 300g以上
韓国向け エネルギー、脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、ナトリウム、炭水化物、水分、灰分、糖類、たんぱく質 7 300g以上
オーストラリア/ニュージーランド向け エネルギー、脂質、飽和脂肪酸、ナトリウム、炭水化物、水分、灰分、食物繊維、糖類、たんぱく質 7 300g以上
UAE向け エネルギー、脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、ナトリウム、炭水化物、水分、灰分、食物繊維、糖類、たんぱく質 7 300g以上

※ 各国の法令・規制は改定がある場合があります

※ 水分の多い検体・全体が均一でない検体の場合、検体量は上記より多く必要となります

※ 糖類(ショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖、ガラクトース)

※ 検体により追加の検査項目が発生する場合があります

※ 所要日数は土日祝日を含む営業日です(ただし年末年始を除く)

→ 成分分析

放射性物質

ゲルマニウム半導体検出器による放射能精密測定を行います。農産物・畜産物・水産物等の食品や飲料水だけでなく、飼料や肥料、土壌や汚泥等の環境試料等、多様なサンプルの放射能測定を実施しています。
ビューローベリタスエフイーエーシーは、農林水産省「輸出食品等に対する放射性物質に関する検査の実施機関」です。

検査項目:ヨウ素-131(I-131)、セシウム-134、137(Cs-134, Cs137)
所要日数、検出限界、必要量、検査料金はこちら

  • 輸出証明用に必要な報告書オプション(ISO/IEC17025認定マーク付報告書)2,200円(税込))

→ 放射能測定

微生物

一般生菌数や大腸菌群等の衛生指標菌をはじめ、黄色ブドウ球菌、サルモネラ等の食中毒菌の検査を行います。

検査項目:一般生菌数(細菌数)、大腸菌群、大腸菌(E.coli)、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、腸炎ビブリオ、腸炎ビブリオ、リステリア菌

また上記以外の微生物検査(ノロウイルス、カビ同定など)にも対応しています。
所要日数、検出限界、必要量、検査料金はこちら

→ 微生物検査

有害物質

検査方法:LC/MS/MS法、GC/MS/MS法、HPLC法、ICP-MS法
検査項目:カドミウム、鉛、ヒ素、スズ、総水銀、重金属(Pbとして)、メチル水銀
所要日数、検出限界、必要量、検査料金はこちら

→ 重金属・有害物質

残留農薬

検査方法:LC/MS/MS法、GC/MS/MS法、HPLC法

検査項目:残留農薬58項目一斉分析、残留農薬96項目一斉分析、残留農薬149項目一斉分析、残留農薬207項目一斉分析、残留農薬260項目一斉分析、残留農薬262項目一斉分析、残留農薬329項目一斉分析、残留農薬443項目一斉分析

上記以外にも対応が可能、またお客様専用の分析項目も作成可能です。
所要日数、検出限界、必要量、検査料金はこちら

→ 残留農薬・残留動物用医薬品

参考

→ 成分分析 → 放射能測定 → 微生物検査 → 重金属・有害物質

→ 残留農薬・残留動物用医薬品