食の多様性に向けて(ヴィーガン・ハラルについて)

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世界には宗教やライフスタイルのため、様々な理由で食べるものを取捨選択している人々がいます。その中のヴィーガンとハラールについてMERIEUX NUTRISCIENCES JAPAN株式会社ができることは何か、を考えていきます。

1. ヴィーガン

ベジタリアン(菜食主義)は乳製品・卵製品・魚介類を食べるか食べないかで細分化されており、選択は本人の判断にゆだねられています。その中でも完全菜食主義といわれるヴィーガンは、肉や魚介類、卵製品や乳製品のほか蜂蜜などの動物性食品を一切食べず、レザーや羽毛ものような動物性の製品も使用しないライフスタイルを選んでいる人々です。砂糖も加工段階で骨炭を利用しているものは不可とされているようです。
日本においてもヴィーガン・ベジ食品に関するJAS規格が定められるなど、今後の広がりが期待されています。国家主導の規格は日本が世界初とのことです(JAS登録認証機関 NPO法人日本ヴィーガン協会HP(https://vegan-jas.jp/)より)
この規格の中で、動物性物質のコンタミネーションに対する検証は必須ではないとされていますが、動物性由来遺伝子の有無で検証が可能です。検証に用いるのは、特定原材料のDNA検査で使用する動物由来の参照遺伝子を確認するマーカーですが、検出できる範囲が広いのが特徴です。

検出できる食材:動物(一般的家畜や家禽の類に魚介類。昆虫・乳・卵については要検証)
検出できない食材:はちみつ、砂糖

2. ハラール(ハラル)

ハラール食品とはイスラム教の教えに基づき、神に許された食べ物のことを表しています。ハラール製品とは、食の安全性とトレーサビリティという2つの基本原則を重視したイスラムの食事法に準拠した製品です。具体的には、アルコールや豚肉などの禁止物質が含まれていてはならず、屠畜方法、衛生管理、ラベル表示など、生産のあらゆる段階で厳格なガイドラインを遵守する必要があります。

ハラール性について弊社で検証の可能な検査項目は、下記の通りです。
・豚由来遺伝子含有検査
検査品に豚由来遺伝子が含まれるか、含まれないかの定性検査です。製品そのものやその屠畜・製造工程がハラールであることの証明ではありません。 ・エタノール検査
アルコールの残留の確認として検査します。製品そのものやその屠畜・製造工程がハラールであることの証明ではありません。
(Merieux Nutrisciences Turkeyのラボではハラール検査の認証を受けていますが、日本のラボは範囲外ですので通常の報告書のみ発行可能です。)

ハラール製品は食品だけでなく、医薬品や化粧品にまで及んでおり、その需要は年々増加が見込まれています。2023年の世界市場の規模が2.5兆米ドルであるのに対し、2030年にはその倍に達すると予測されています(MxNS内部資料)。
関心を持つきっかけ、あるいは対応を検討する一助になれば幸いです。

詳細についてはお気軽にご相談ください。

→ 動物由来物質含有検査