産地判別・異性化糖添加判別に使用する安定同位体比分析

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ビューローベリタスエフイーエーシー(株)では、うなぎ、わかめ等の産地判別(推定検査)や、蜂蜜、果汁等の異性化糖(C4植物由来)添加判別を受託しています。これらの判別には、安定同位体比分析を利用して検査を行っています。

安定同位体比分析の特徴

炭素や酸素などは同じ元素の中に質量が異なる原子(陽子の数は同じで中性子の数が異なる)が存在しています。例として炭素(元素記号C)の質量数と原子量を見てみます。炭素の原子番号は6で、原子核の陽子数は6個ですが、中性子数は6個・7個・8個のものが存在します。したがって、質量数は12・13・14の3種類があり、それぞれを12C・13C・14Cと表記します。炭素の場合、放射性のものとそうでないものがあり、放射性のものを放射性同位体(14C:炭素14)、そうでないもの(12Cと13C)を安定同位体といいます。他の軽元素では安定同位体として(13C/12C、 D/H、15N/14N、18O/17O/16O)が存在します。安定同位体比分析はこれら軽元素の安定同位体を用いて分析を行います。
例えば、生物の軽元素の安定同位体比は、生育環境を普遍的に反映するため、同じ塩基配列を持つ同一の生物であっても生育環境・条件によって体組織に取り込む複数の同位体の比率は変化します。このため、安定同位体比分析ではDNA解析では不可能な食品の産地判別などに用いられています。

分析方法

安定同位体比は安定同位体比質量分析計(Isotope Ratio Mass Spectrometer:IRMS;写真1)用いて測定を行っています。IRMSを用いてサンプル中の安定同位体比を測定するためには、測定対象の元素が気体になっている必要があります。
IRMSには2種類の燃焼装置が接続されており、TC/EA(Thermal conversion / Elemental analyzer;写真2左側)で酸素はCOに、水素はH2に変換、EA(Elemental analyzer;写真2右側)にて炭素をCO2、窒素をN2に変換した後、IRMSを用いて質量数の違いにより同位体の量を測定し、それらの存在比の算出を行います。

(左)写真1:安定同位体比質量分析計、(右)写真2:熱分解型元素分析装置と元素分析装置

検査項目

検査法備考
産地判別(推定検査) 牛肉、米、うなぎ、わかめなどの産地判別(推定検査)や、可能性を検討する"トライアル試験"も行なっております。
糖添加判別・原料由来判別 異性化糖添加、柑橘類果汁の希釈の有無などを確認します。
安定同位体比測定 お客様のご要望によって、あらゆるサンプルの炭素、窒素、酸素の安定同位体比を測定します。

上記に示しました検査項目でお困りの問題がございましたら、ぜひともご相談ください。
データベースの作成をお手伝いします。その他、調査、判別をご希望される場合や不明点などがございましたら、お気軽にご相談ください。
詳細は「安定同位体分析」のページをご参照ください。

参考文献

  • 千葉 仁(1996):安定同位体比測定用質量分析計,九州大学中央分析センター センターニュース,13,2-7.
  • 伊永隆史(2013):RADIOISOTOPES,62,219-33(2013),安定同位体比質量分析法を用いた食品産地判別の現状と課題
  • 中野孝教(2016):ぶんせき2016 同位体分析の基本的原理
  • 鈴木彌生子(2013):日本食品科学工学会誌 第60巻 第1号
  • 鈴木彌生子(2010):Org. Geochem. 26, 31-37(2010),熱分解型元素分析/同位体比質量分析計(TCEA/IRMS)を用いた有機物の水素・酸素安定同位体比の測定方法における留意点とその応用

検査についてご不明点やお困りの点などございましたら、お気軽に電話(フリーダイヤル0120-937-606)
またはE-mail(info.feac@bureauveritas.com)にて、ご相談ください。