【検査メニュー紹介】検査結果についての精度維持の取り組み「精度管理」

投稿日:

検査機関はご依頼者からの検査を実施して検査報告書を発行することを生業としています。しかし、検査を漫然と行っているだけでは、その試験品(検体)のもつ「真の値」にかかわらず、商品規格や基準にそぐわない結果となることが考えられます。そこで、検査結果についての精度維持の取り組みとして、精度管理を行なっています。
精度管理での評価はいつでも良好な結果が得られるとは限りません。不本意な結果の場合、実施した検査員の能力を判断する見方もありますが、原因を考え、改善し、より高い精度を得るステップアップを図るための良い機会となります。

精度管理の手法は、大きく内部精度管理と外部精度管理(技能試験)の2種類に分けられます。
内部精度管理と外部精度管理(技能試験)

■ 内部精度管理

内部精度管理では、以下のいずれかの検体を用いて検査を実施します。

  1. 検査機関で精度管理用検体を調整したもの(精度管理を行いたい項目の成分試薬や細菌を食品に一定濃度添加したもの)
    → 添加した成分試薬や細菌の量に対する一致度を確認します。
  2. 過去に行なった検査で精度管理項目が検出した試験品(検体)
    → 過去に実施した検査結果に対する検査結果の一致度を確認します。

定性検査(陽性か陰性かを確認する検査)の場合は結果が一致していればOKです。
定量検査(含有量を求める検査)では、上記1の検体の場合は添加量に対して100%の結果値になることが望ましいのですが、食品由来の他の成分に妨害されて、ターゲットとしている成分の取り出しが完全にできず、添加量に比べて95%と少ない場合や、逆に食品由来の成分が加算されて105%と多くなる場合があります。
添加した量に対して、検査で得られた結果の割合を添加回収率(%)といいます。精度管理におけるガイドラインでは70%~120%の範囲であれば良好。また、Z-スコア(同一の検体から連続して5回以上検査を行いそれぞれの結果値の平均値を0としたときのスコア)を確認し、すべての結果について±2以下であることも条件としています。Z-スコアに関する説明は割愛しますが、統計学では基礎的な指標ですので興味のある方は調べてみてください。

■ 外部精度管理

外部精度管理 参加証明書 外部精度管理(技能試験)では、外部機関が調整した検体を検査し、その外部機関へ報告します。外部機関では参加した各試験所から集めた検査結果を基に統計的手法を用いて各検査所の結果を判断します。
検査結果の判断基準はいくつかあり、定性検査の場合は添加したものが検出できているかが基準となりますが、定量検査で重要視されるのは添加された成分や細菌量を100%としたとき測定結果が70%~120%の範囲内にあること、参加者の結果の平均値を0としたときのZ-スコアが±2以下であることです。
ビューローベリタスエフイーエーシーは、日本国内では公的機関、検査機関、測定機器や測定試薬のメーカー等が実施するもの、国外では遺伝子組換え検査について英国食料環境研究庁が実施しているGeMMAへ参加しています。今後も積極的に外部精度管理に参加したいと考えています。

ビューローベリタスエフイーエーシーは、内部精度管理では細菌検査、理化学検査、遺伝子組換え検査の58項目を実施、外部精度管理では15項目について参加し、全ての項目において良好な結果を得ていますので、安心して検査をお任せいただけます。各種検査や精度管理について、お気軽にお問い合わせください。

参考