ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)とは

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背景

2007(平成19)年3月、北米にてプラスチックの原料でもある有害物質(メラニン)が混入したペットフードが原因となり多数の犬および猫への健康被害が発生し、世界的なリコールとなりました。同製品は日本にも輸入販売がされていましたが、当時は法令による規制がありませんでした。
また2004(平成16)年と2007年にカビ毒・ヒスタミンに汚染されたペットフードの自主回収も発生しました。
そこで、農林水産省および環境省合同で「ペットフード安全確保に関する研究会」が設置され、2009(平成21)年6月に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」が施行されました。

対象

現在、犬・猫以外に小鳥や観賞魚、うさぎやハムスターなどの小動物、爬虫類まで広くペットフードが製造・販売されています。しかしながらペットフード安全法では、ドッグフード・キャットフードに限定しています。
また「愛がん動物の栄養に供すること」を目的としたペットフードが対象であるため、愛がんすることを目的として飼育された動物以外、例えば実験動物としての犬・猫は対象となりません。

「総合栄養食」「一般食」などの一般的なペットフード、おやつやスナック、ガムなどの「間食」、「特別療法食」、サプリメント、ミネラルウォーターなど、犬・猫が食べるものはほとんどが対象です。また加工の有無を定義しておらず、生肉も対象となります。
対象外としては、動物用医薬品等(薬事法・医薬品医療機器等法で規制)、ペットカフェ等の店内で消費されるために製造されたフードがあります(販売目的のフードは対象)。また、ペットフードの容器や口に入れても飲み込まないおもちゃ、香りづけや遊具としてのまたたび、毛づくろいの際に飲み込んだ毛とともに吐き出させる目的の猫草なども対象外とされています。

主な内容

  1. 成分規格および製造方法に合わないペットフードの製造・輸入・販売の禁止
  2. 販売されるペットフードへの表示義務(名称、原材料名、賞味期限、製造両者等の名称および住所、原産国名)
  3. 製造業者等の届出
  4. 帳簿の備付け
  5. 問題が発生したペットフードの廃棄・回収など必要措置への命令
  6. 報告の徴収、立入検査等

成分規格

ペットフードの製造・販売にかかる基準・規格は、法第5条に基づき「愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令」により定められました。
以下の成分の含有量は、設定した値以下でなければなりません。

分類 物質等 定める量(μg/g)
添加物 エトキシキン・BHA・BHT 150(合計量)
犬用にあたっては、
エトキシキン75以下
亜硝酸ナトリウム 100
農薬 グリホサート 15
クロルピリホスメチル 10
ピリミホスメチル 2
マラチオン 10
メタミドホス 0.2
汚染物質※ アフラトキシンB1 0.02
デオキシニバレノール 2(犬用)
1(猫用)
カドミウム 1
3
無機ヒ素 2
BHC(α-BHC、β-BHC、γ-BHCおよびδ-BHC、の総和をいう) 0.01
DDT(DDDおよびDDEを含む) 0.1
アルドリンおよびディルドリン(総和をいう) 0.01
エンドリン 0.01
ヘプタクロルおよびヘプタクロルエポキシド(総和をいう) 0.01
その他 メラミン 2.5

※汚染物質:環境中に存する物質であって、意図せず愛玩動物用飼料中に含まれるものをいう。
※規定する成分の販売用ペットフードにおける含有量を算出するにあたっては、そのペットフードの水分含有量を10%に設定する。

規定する物質の販売用愛玩動物用飼料中の含有量を算出するにあたり、水分の含有量が10%を超えるときは、その超える量を当該ペットフードの量から除外するものとします。水分の含有量が10%に満たないときは、その不足する量を当該ペットフードの量に加算するものとし算出します。 より詳しい計算方法についてFAQ集で解説しています。

なお、原料、製品のロット毎の全量検査や報告を義務付けてはいませんので、ロットごとの検査はする必要はありません。

ペットフード安全法などペットフードの検査に関する詳しいFAQ集をご用意いたしました。
→ ペットフードの検査 FAQ

ビューローベリタスエフイーエーシーでは、ペットフード安全法で定められた成分規格検査(必須20項目)について検査パッケージをご用意しております。 その他、AAFCO(全米飼料検査官協会)が設定している総合栄養食としての栄養基準に対応した検査パッケージ、微生物検査、異物・臭気検査などにも対応しています。
→ ペットフードの検査

参考文献

→ ペットフードの検査