「畜産物DNA識別検査」とは、畜水産物のDNA(遺伝子)分析を用いた品種判別の検査です。
食品DNA検査は、ビューローベリタスエフイーエーシーが最も得意とする検査分野で、遺伝子分析技術は、飼料中からの動物由来物質排除のための動物由来物質含有検査や、種苗法に対応した作物品種識別検査など、多岐にわたります。
そのなかで、畜水産物の表示品種の科学的検証、牛肉トレーサビリティ法に対応した個体識別検査など、肉類・魚類の品種識別関連検査が「畜産物DNA識別検査」です。
黒豚識別検査
豚肉がバークシャー種(黒豚)かどうかを識別(遺伝子多型解析)
対応種:バークシャー、大ヨークシャー、ランドレース、メイシャン、デュロック、ハンプシャー
日本で飼育されている豚は、イギリス原産「大ヨークシャー種」、デンマーク原産「ランドレース種」、アメリカ原産の「デュロック種」と「ハンプシャー種」のいずれかを組み合わせた雑種がほとんどですが、いわゆる「黒豚」といわれるイギリス原産「バークシャー種」は、純粋種として飼育されています。
出典:
独立行政法人農畜産業振興機構ウェブサイト「黒豚表示のあり方の検討結果および黒豚の定義について」(農林水産省)
農林水産省ウェブサイト「黒豚に関する諸制度等について」
「黒豚」という名称は、一種のブランド銘柄として認知されていますが、さまざまな食品の偽装問題が取り上げられる昨今、黒豚であるかどうかの判別が求められる機会も増加しています。
DNAの情報は親から子に受け継がれるため、DNAを調べることにより父親、母親を特定できます。この技術を応用して、豚の品種を識別します。サンプルのDNA型を検査し、決まった7つのDNA配列が制限酵素によって切断されるかされないかの組み合わせで品種を鑑定します。
ビューローベリタスエフイーエーシーでは、黒豚(バークシャー種)以外の品種として、大ヨークシャー、ランドレース、メイシャン、デュロック、ハンプシャーについても対応しております。
豚雌雄識別検査
性遺伝子の検定により豚の雌雄を判定
DNAの親子判定を応用した検査に「雄雌識別」があります。
豚のY染色体特異的DNA配列から、雄雌を判定することが可能です。
名古屋コーチン識別検査
愛知県が系統造成した名古屋コーチンの交配などにより生産される名古屋コーチンのDNAタイプと一致するかどうかを検定(生肉限定)
名古屋コ-チン(品種名は『名古屋種』)は、明治の半ばに、在来の地鶏と中国から輸入された「バフコ-チン」を交配して作出されました。
日本の地鶏では唯一、実用鶏を生み出すために他の品種を交配させておらず、純粋種同士の交配により実用鶏を生産しています。名古屋コーチンは愛知県が誇るブランド鶏で、全国的に知名度が高く、「地鶏の王様」ともいわれています。
出典:愛知県ウェブサイト「名古屋コーチン」/「名古屋コーチンの歴史と特徴」「畜肉性が優れた名古屋コーチンの肉用新系統を開発」
このように高級ブランド地鶏として知られる「名古屋コーチン」ですが、先述の「黒豚」と同様、偽装が発覚したケースがあります。
ビューローベリタスエフイーエーシーでは、サンプルが愛知県畜産総合センターの種鶏に由来するDNAパターンと一致するかどうかを検定しています(生肉限定)。
牛個体識別検査
2検体の牛肉が同一個体のものかどうかを検定(トレーサビリティの検証)
日本では、BSEのまん延防止措置の的確な実施や個体識別情報の提供の促進などを目的として「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(牛肉トレーサビリティ法)」が2003年に制定されました。
食用牛の誕生から牛肉の販売までの生育および流通過程を、牛の個体識別番号により一元管理します。
また牛の耳標および牛肉に記載されている個体識別番号により、インターネットを通じて牛の生産履歴を追跡することができます。
参考:農林水産省ウェブサイト「牛・牛肉のトレーサビリティ」
DNA技術を用いることで、出荷した牛個体と、店頭に並ぶ牛肉が同一の個体か確認することができます。
ビューローベリタスエフイーエーシーは、屠畜(と畜)後の枝肉と店頭で販売されている牛肉が同一個体のものかどうかを検定します。
なお、「BSEに関する飼料規制」への対応として、飼料中の動物由来体含有の有無を確認する検査も行っています。
検査日数や料金などの詳細、およびご依頼に関しては「畜産物・魚介類DNA識別検査」をご覧ください。
この他に、米、農産物(小豆・大豆など)、魚介類のDNA識別検査にも対応しています。ぜひご活用ください。