必要検体量とその理由(食味構成要素パッケージ分析(食品おいしさ分析))

投稿日:

ビューローベリタスエフイーエーシーでは、食肉のおいしさを6つの項目(遊離アミノ酸、ペプチド構成アミノ酸総量、脂肪酸組成、脂肪融点、食感、ジューシーさ)を通して分析する食味構成要素パッケージ分析を実施しています。

分析に必要なサンプル量として全項目で1kg(目安)のご提出をお願いしていますが、「サンプルとしてそんなに用意できない。最低どのくらいで検査が可能か」というお問い合わせを受けることが少なくありません。
遊離アミノ酸、ペプチド構成アミノ酸総量、脂肪酸組成、脂肪融点については、サンプル量300g程度で検査は可能です。一方、食感、ジューシーさ分析については700g程度、さらに「ブロック肉で」「厚さが10cm程度」「可能であれば赤身部分の多い検体で」とお客様にお願いしています。

食感とジューシーさの分析に「なぜ多くの検体、厚み、赤身部分が必要なのか」について、特に依頼の多い豚肉を例にご説明します。

分析に使用する部位

写真は、豚肉(ロース)のブロック約600gの断面です。
赤い枠で囲った部分がロース芯です。この部分を食感、加圧保水性、伸展率の分析に使用します。この部分が多いほどたくさんのサンプルが採取でき、測定回数を多く確保することができます。測定回数が多いほうがより信頼性の高い結果をご報告できます。

豚肉(ロース)のブロック約600gの断面
撮影:ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社

肉の周り(上部)に乗っている脂肪は皮下脂肪です。
舌の上で脂が溶け出す温度(脂肪融点)や脂肪酸組成などの分析には、通常この部分からサンプルを採取します。この部位は分析に使用できる部分が多く抽出できるため、比較的少ないサンプル量でも可能です。
(筋間脂肪での脂肪融点のサンプリングを行う場合は、より多くのサンプルが必要になります。)

サンプリング手順

このブロック肉を使ったサンプリング手順をご紹介します。

まず、ブロック肉をスライスします。
このとき、食感分析に必要な厚さである「加熱後1.0cm」を確保するために1.5cm程度にスライスします。写真のブロック肉からは4枚スライスできました。より多くの測定回数を確保するためには5枚程度のスライスが望ましいですが、赤身部分が大きいサンプルであれば4枚程度でも充分な測定回数を確保できるケースがあります。

ブロック肉をスライス。必要な厚さ1.5cm程度。5枚程度が望ましい。
撮影:ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社

次に1.5cm程度にスライスした状態からロース芯を切り出します。
この切り出した部分を加熱し食感分析に使用します。 実際にロース芯を切り出すと、スライスした状態の2/3程度の大きさになってしまいます。

ロース芯を切り出すと、スライスした状態の2/3程度の大きさになります。
撮影:ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社

これらの理由により、「700g程度のブロック肉」「厚さ10cm程度」「赤身の多い」検体とお願いしております。

食感分析はバラつきの多い分析です。通常は10回程度の測定回数を実施し、その値の平均値を測定結果としてご報告します。できれば1kgのサンプル量があると安心です。

お客様には、今後も充分なサンプルのご提出にご理解・ご協力くださいますよう改めてお願い申し上げます。どうしても必要なサンプル量のご用意が難しい場合は、サンプルを拝見し、できるだけ多くの測定回数の確保に努めますので、お気軽にご相談ください。

食肉の食感分析以外に、米飯やその他さまざまな食品の食感分析も行っています。また、本試験前のトライアル分析も承ります。まずご希望の検査内容をお伺いし分析の可否を判断します。測定から得られた値の妥当性、またお客様のご希望・要件を充たしているか、などを検証し、受託可能と判断すれば本試験へと進みます。詳細はお問い合わせください。

→ 食肉 食味構成要素分析 → 食品おいしさ分析