おいしさを構成する「うま味」と成分分析

投稿日:2021年5月18日
更新日:2023年11月29日

「うま味」とは、食味の構成要素である5つの基本味のひとつです(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)。「うま味」を感じる成分として、主に、グルタミン酸(アミノ酸)やイノシン酸・グアニル酸(核酸)、ナトリウムやカリウムなどのミネラルがあります。またアスパラギン酸(アミノ酸)やアデニル酸(核酸)などもあげられます。その他、脂肪酸の成分に風味・食味が影響されます。
ビューローベリタスエフイーエーシーでは、うま味を構成する成分の分析を受託しています。

うま味とは

「うま味」は、甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ基本味の一つです。
「うま味」「旨み」「うまみ」と混同されるケースがありますが、下記のとおり区別されます。

「うま味」「旨み」「うまみ」

味覚だけでなく、見た目(視覚)、匂い(嗅覚)、食感(触覚)の他、環境や体調などさまざまな要因に影響される「おいしさ」を表す言葉です。

「うま味」

食味の構成要素である5つの基本味の一つです(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)。
基本味は「おいしさ」を構成する要素です。

背景

日本うま味調味料協会によると、うま味は1908年に東京帝国大学の池田菊苗博士により発見されました。
博士はおいしさの素として昆布だしの成分に注目、昆布だしよりグルタミン酸を取り出し「うま味」と名づけました。
その後、別の日本の科学者によって、かつお節に含まれるイノシン酸、干し椎茸に含まれるグアニル酸もうま味を構成する成分であることが発見されました。

うま味の成分

「うま味」の成分として、主に、グルタミン酸(アミノ酸)やイノシン酸・グアニル酸(核酸)や、ナトリウムやカリウムなどのミネラルなどがあります。またアスパラギン酸(アミノ酸)やアデニル酸(核酸)などもあげられます。その他、貝類に多く含まれるコハク酸(有機酸)をあげる場合もあります。 脂については、脂肪酸の成分に風味・食味が影響されます。

これらはさまざまな食材や食品に含まれています。例えば、グルタミン酸は昆布や野菜、チーズや醤油・味噌などの発酵食品に、イノシン酸は魚や肉類、グアニル酸は干しきのこ類に多く含まれます。

遊離アミノ酸、核酸
※日本うま味調味料協会の資料にもとづいて作成

うま味の広がり

近年、生活習慣病予防や健康維持のため、動物性油脂を使わずだしのうま味で素材の味を引き出すヘルシーな日本料理が注目されていることもあり、「うま味(英語表記:UMAMI)」は国際的に使用される用語となりました。
またうま味は、減塩効果、高齢者の唾液促進によるQQL改善効果からも注目されています。

ビューローベリタスエフイーエーシーで実施している検査項目(うま味関連)

遊離アミノ酸については、18種・24種・41種の成分検査を実施しています。味の評価を目的に検査を行う場合は24種一斉分析が適しています。
核酸や脂肪酸組成についても下表のように味の評価が行えます。

うま味成分検査によって、従来品との比較による製品の特徴を把握し、自社の訴求に活かすことができます。

検査項目 味覚、風味 代表的成分 検査方法
遊離アミノ酸 うま味 アスパラギン酸
グルタミン酸
試験品から遊離アミノ酸を抽出後、高速液体クロマトグラフで分析
甘み アラニン、グリシン
トレオニン、セリンプロリン
風味、苦み アルギニン
メチオニン
ロイシン、イソロイシン
核酸 うま味 イノシン酸
グアニル酸
アデニル酸
試験品から抽出後、高速液体クロマトグラフで分析
脂肪酸組成 脂の香りにプラス 飽和脂肪酸
(オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など)
試験品から脂質を抽出後、ガスクロマトグラフで分析
食味の総合評価に
マイナス
多価不飽和脂肪酸
(リノール酸など)

所要日数や料金等の詳細はこちらをご覧ください。
→ 成分分析

ビューローベリタスエフイーエーシーでは、今回紹介した遊離アミノ酸・脂肪酸組成分析に融点・食感・ジューシーさの分析を加えた食味構成要素パッケージ分析を行なっております。主に食肉や魚肉について、新品種や飼育方法・給餌方法などによる肉質やうま味成分の違いを確認できると好評をいただいております。

また、複数検体間による検査結果を比較し、検体の優位さを確認する検体間比較を追加できます。牛肉や豚肉については独自のデータベース値と検体の検査結果との対比評価を実施しており、よりわかりやすい評価を報告いたします。

味による販売価値を見つけたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。

→ 成分分析
→ 食品おいしさ分析

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参考