ドッグフードとキャットフードの違いと検査

投稿日:

ドッグフードとキャットフードの違い

人間と同じように、犬や猫も、脂肪、たんぱく質、炭水化物、ミネラル、ビタミンを食べ物から摂取する必要があります。しかし人間と犬や猫では必要な栄養素の割合に大きな違いがあります。

犬は雑食

犬は、長い間人間と共同生活していく中で雑食性が進み、たんぱく質の必要量は人間より多いものの、最適な三大栄養素の割合は全般的に人間とよく似ています。

猫は肉食

猫は、人間と暮らし続けていても肉食性を保ち続けたため、人間や犬に比べてたんぱく質が多く必要です。また、猫はタウリンや、ビタミンAなどを体内で作ることができないため、タウリンを十分に含んだフードを与える必要があります。

出典:飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~(環境省自然環境局)

犬、猫、人間の平均的な食事に含まれる三大栄養素
人間
グラフ 犬:炭水化物60%、たんぱく質25%、脂肪15% グラフ 猫:炭水化物45%、たんぱく質35%、脂肪20% グラフ 人間:炭水化物68%、たんぱく質18%、脂肪14%
1,000Kcalの食事に含まれるタンパク質の推奨量のグラフ画像

タウリン

猫はタウリンを体内で作ることができず食事からでしか摂取できません。タウリンは目の健康に影響を与える栄養素であり、多くのキャットフードに添加されています。

ビタミンA

犬はβ-カロテンからビタミンAの合成ができますが、猫はできないため、キャットフードにはビタミンAやビタミンB群のナイアシンなどが多く含まれています。

水分

水は、動物の身体の60~70%を占めるといわれています。
猫はもともと砂漠で暮らしていたため、犬に比べて水分を必要としませんが、下部尿路疾患、腎疾患などの健康面から水分補給は大切です。

基本的に、キャットフードはドッグフードに比べて、「高タンパク」「高脂肪」なものが多いとされています。
また、近年注目のジビエ(野生獣肉)は、「高タンパク」であるとして、ペットフード(特にキャットフード)におすすめの原材料であるとされています。
参考:コラム「ジビエ(野生獣肉)を使用したペットフード」 

人間の食べ物でも、犬・猫には害を及ぼす食材があります。特に玉ねぎやチョコレートなどは注意が必要です。
詳しくは、飼い主のためのペットフード・ガイドライン(環境省自然環境局)をご覧ください。

ペットフード安全法における成分規格

ペットフードの安全性確保およびペットの健康を保護する目的として、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(通称:ペットフード安全法)」が平成21年(2009年)6月に施行されました。
→ 詳しくはこちら、コラム「ペットフード安全法とは」

この法律では、添加物、農薬、カビ毒などの汚染物質等についての規格・基準が設定され、規格・基準に合わない製品の輸入、製造、販売は禁止となります。
「“愛がん動物の栄養に供することを目的として飼養される犬および猫“に使用されるもの」として、一般的な加工ペットフード、生肉、ミネラルウォーター、スナック・ガムなどの間食、特別療法食、サプリメントなどが対象とされています。

ペットフード安全法では、犬・猫用において一部の成分規格が異なります。

分類 物質等 定める量(μg/g)※1
添加物 エトキシキン・BHA・BHT 150(合計量)
エトキシキン
75以下
-
亜硝酸ナトリウム 100
農薬 グリホサート 15
クロルピリホスメチル 10
ピリミホスメチル 2
マラチオン 10
メタミドホス 0.2
汚染物質※2 アフラトキシンB1 0.02
デオキシニバレノール 2 1
カドミウム 1
3
砒素※3 15
BHC
(α-BHC、β-BHC、γ-BHCおよびδ-BHCの総和をいう)
0.01
DDT
(DDDおよびDDEを含む)
0.1
アルドリンおよびディルドリン
(総和をいう)
0.01
エンドリン 0.01
ヘプタクロルおよびヘプタクロルエポキシド
(総和をいう)
0.01
その他 メラミン 2.5

※1 基準値は水分量を10%として設定されたもの

※2 汚染物質:環境中に存する物質であって、意図せず愛がん動物用飼料に含まれるものをいう

※3 令和3年10月1日から砒素の含有許容量(15μg/g以下)の規定が、無機砒素の含有許容量(2μg/g以下)の規定に改められます。

AAFCO基準(総合栄養食)における栄養素

AAFCO(The Association of American Feed Control Officials:米国飼料検査官協会、以下AAFCO)は、ペットフードを含めた飼料の栄養基準やラベル表示に関する基準を設定している米国の団体です。

1993年にドッグフード・キャットフードの推奨栄養成分を公表しました。必要な栄養素(タンパク質、脂肪などの最低値、ビタミン、アミノ酸、ミネラルなど)の下限値や危険性のある原材料の上限値を設定しています。

※乾燥物質基準(DMB:水分を含まない状態)に基づく。

ここでも既定されている成分や値に差異があります。

栄養素 単位
子犬 成犬 子猫 成猫
タンパク質 % 22.5以上 18.0以上 30.0以上 26.0以上
アルギニン % 1.00以上 0.51以上 1.24以上 1.04以上
ヒスチジン % 0.44以上 0.19以上 0.33以上 0.31以上
イソロイシン % 0.71以上 0.38以上 0.56以上 0.52以上
ロイシン % 1.29以上 0.68以上 1.28以上 1.24以上
リジン % 0.90以上 0.63以上 1.20以上 0.83以上
メチオニン % 0.35以上 0.33以上 0.62〜1.50 0.20〜1.50
メチオニン+シスチン % 0.70以上 0.65以上 1.10以上 0.40以上
フェニルアラニン % 0.83以上 0.45以上 0.52以上 0.42以上
フェニルアラニン+チロシン % 1.30以上 0.74以上 1.92以上 1.53以上
トレオニン % 1.04以上 0.48以上 0.73以上 0.73以上
トリプトファン % 0.20以上 0.16以上 0.25〜1.70 0.16〜1.70
バリン % 0.68以上 0.49以上 0.64以上 0.62以上
脂肪 % 8.5以上 5.5以上 9.0以上 9.0以上
リノール酸 % 1.3以上 1.1以上 0.6以上 0.6以上
αリノレン酸 % 0.08以上 - 0.02以上 -
アラキドン酸 % - - 0.02以上 0.02以上
EPA+DHA % 0.05以上 - 0.012以上 -
リノール酸+アラキドン酸︰αリノレン酸+EPA+DHA   30:1 30:1 - -
カルシウム % 1.2〜1.8 0.5〜1.8 1.0以上 0.6以上
リン % 1.0〜1.6 0.4〜1.6 0.8以上 0.5以上
カルシウム︰リン   1:1〜2:1 1:1〜2:1 - -
カリウム % 0.6以上 0.6以上 0.6以上 0.6以上
ナトリウム % 0.3以上 0.08以上 0.2以上 0.2以上
塩素 % 0.45以上 0.12以上 0.3以上 0.3以上
マグネシウム % 0.06以上 0.06以上 0.08以上 0.04以上
mg/kg 88以上 40以上 80以上 80以上
mg/kg 12.4以上 7.3以上 15.0以上 5.0以上
銅(ウェット) mg/kg - - 8.4以上 -
マンガン mg/kg 7.2以上 5.0以上 7.6以上 7.6以上
亜鉛 mg/kg 100以上 80以上 75以上 75以上
ヨウ素 mg/kg 1.0〜11 1.0〜11 1.8〜9.0 0.6〜9.0
セレン mg/kg 0.35〜2 0.35〜2 0.3以上 0.3以上
ビタミンA IU/kg 5000〜250000 5000〜250000 6668〜333300 3332〜333300
ビタミンD IU/kg 500〜3000 500〜3000 280〜30080 280〜30080
ビタミンE IU/kg 50以上 50以上 40以上 40以上
ビタミンK mg/kg - - 0.1以上
ビタミンB1(チアミン) mg/kg 2.25以上 2.25以上 5.6以上 5.6以上
ビタミンB2(リボフラビン) mg/kg 5.2以上 5.2以上 4.0以上 4.0以上
パントテン酸 mg/kg 12.0以上 12.0以上 5.75以上 5.75以上
ナイアシン mg/kg 13.6以上 13.6以上 60以上 60以上
ビタミンB6 mg/kg 1.5以上 1.5以上 4.0以上 4.0以上
葉酸 mg/kg 0.216以上 0.216以上 0.8以上 0.8以上
ビオチン mg/kg - - 0.07以上 0.07以上
ビタミンB12 mg/kg 0.028以上 0.028以上 0.02以上 0.02以上
コリン mg/kg 1360以上 1360以上 2400以上 2400以上
タウリン(ドライ) % - - 0.1以上 0.1以上
タウリン(ウェット) % - - 0.2以上 0.2以上

このように、ドッグフード・キャットフードそれぞれに規定された成分規格に沿った検査が必要です。
ビューローベリタスエフイーエーシーでは、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC:Food and Agricultural Materials Inspection Center)の「愛玩動物用飼料等の検査法」にしたがって、ペットフードの成分規格検査(必須20項目)を受託しています。
またAAFCOが設定している総合栄養食としての栄養基準に対応した検査を実施しています。パッケージ以外でも、栄養素の追加やカスタマイズも承っていますので、ご相談ください。
→ ペットフード検査(ビューローベリタスエフイーエーシー)

ペットフード安全法などペットフード検査に関する詳しいFAQ集はこちらをご覧ください。
→ ペットフードFAQ集

関連コラム

参考文献

→ ペットフードの検査