ドッグフードとキャットフードの違い
人間と同じように、犬や猫も、脂肪、たんぱく質、炭水化物、ミネラル、ビタミンを食べ物から摂取する必要があります。しかし人間と犬や猫では必要な栄養素の割合に大きな違いがあります。
犬は雑食
犬は、長い間人間と共同生活していく中で雑食性が進み、たんぱく質の必要量は人間より多いものの、最適な三大栄養素の割合は全般的に人間とよく似ています。
猫は肉食
猫は、人間と暮らし続けていても肉食性を保ち続けたため、人間や犬に比べてたんぱく質が多く必要です。また、猫はタウリンや、ビタミンAなどを体内で作ることができないため、タウリンを十分に含んだフードを与える必要があります。
出典:飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~(環境省自然環境局)
犬 | 猫 | 人間 |
---|---|---|
タウリン
猫はタウリンを体内で作ることができず食事からでしか摂取できません。タウリンは目の健康に影響を与える栄養素であり、多くのキャットフードに添加されています。
ビタミンA
犬はβ-カロテンからビタミンAの合成ができますが、猫はできないため、キャットフードにはビタミンAやビタミンB群のナイアシンなどが多く含まれています。
水分
水は、動物の身体の60~70%を占めるといわれています。
猫はもともと砂漠で暮らしていたため、犬に比べて水分を必要としませんが、下部尿路疾患、腎疾患などの健康面から水分補給は大切です。
基本的に、キャットフードはドッグフードに比べて、「高タンパク」「高脂肪」なものが多いとされています。
また、近年注目のジビエ(野生獣肉)は、「高タンパク」であるとして、ペットフード(特にキャットフード)におすすめの原材料であるとされています。
参考:コラム「ジビエ(野生獣肉)を使用したペットフード」
人間の食べ物でも、犬・猫には害を及ぼす食材があります。特に玉ねぎやチョコレートなどは注意が必要です。
詳しくは、飼い主のためのペットフード・ガイドライン(環境省自然環境局)をご覧ください。
ペットフード安全法における成分規格
ペットフードの安全性確保およびペットの健康を保護する目的として、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(通称:ペットフード安全法)」が平成21年(2009年)6月に施行されました。
→ 詳しくはこちら、コラム「ペットフード安全法とは」
この法律では、添加物、農薬、カビ毒などの汚染物質等についての規格・基準が設定され、規格・基準に合わない製品の輸入、製造、販売は禁止となります。
「“愛がん動物の栄養に供することを目的として飼養される犬および猫“に使用されるもの」として、一般的な加工ペットフード、生肉、ミネラルウォーター、スナック・ガムなどの間食、特別療法食、サプリメントなどが対象とされています。
ペットフード安全法では、犬・猫用において一部の成分規格が異なります。
分類 | 物質等 | 定める量(μg/g)※1 | |
---|---|---|---|
犬 | 猫 | ||
添加物 | エトキシキン・BHA・BHT | 150(合計量) | |
エトキシキン 75以下 |
- | ||
亜硝酸ナトリウム | 100 | ||
農薬 | グリホサート | 15 | |
クロルピリホスメチル | 10 | ||
ピリミホスメチル | 2 | ||
マラチオン | 10 | ||
メタミドホス | 0.2 | ||
汚染物質※2 | アフラトキシンB1 | 0.02 | |
デオキシニバレノール | 2 | 1 | |
カドミウム | 1 | ||
鉛 | 3 | ||
砒素※3 | 15 | ||
BHC (α-BHC、β-BHC、γ-BHCおよびδ-BHCの総和をいう) |
0.01 | ||
DDT (DDDおよびDDEを含む) |
0.1 | ||
アルドリンおよびディルドリン (総和をいう) |
0.01 | ||
エンドリン | 0.01 | ||
ヘプタクロルおよびヘプタクロルエポキシド (総和をいう) |
0.01 | ||
その他 | メラミン | 2.5 |
※1 基準値は水分量を10%として設定されたもの
※2 汚染物質:環境中に存する物質であって、意図せず愛がん動物用飼料に含まれるものをいう
※3 令和3年10月1日から砒素の含有許容量(15μg/g以下)の規定が、無機砒素の含有許容量(2μg/g以下)の規定に改められます。
AAFCO基準(総合栄養食)における栄養素
AAFCO(The Association of American Feed Control Officials:米国飼料検査官協会、以下AAFCO)は、ペットフードを含めた飼料の栄養基準やラベル表示に関する基準を設定している米国の団体です。
1993年にドッグフード・キャットフードの推奨栄養成分を公表しました。必要な栄養素(タンパク質、脂肪などの最低値、ビタミン、アミノ酸、ミネラルなど)の下限値や危険性のある原材料の上限値を設定※しています。
※乾燥物質基準(DMB:水分を含まない状態)に基づく。
ここでも既定されている成分や値に差異があります。
栄養素 | 単位 | 犬 | 猫 | ||
---|---|---|---|---|---|
子犬 | 成犬 | 子猫 | 成猫 | ||
タンパク質 | % | 22.5以上 | 18.0以上 | 30.0以上 | 26.0以上 |
アルギニン | % | 1.00以上 | 0.51以上 | 1.24以上 | 1.04以上 |
ヒスチジン | % | 0.44以上 | 0.19以上 | 0.33以上 | 0.31以上 |
イソロイシン | % | 0.71以上 | 0.38以上 | 0.56以上 | 0.52以上 |
ロイシン | % | 1.29以上 | 0.68以上 | 1.28以上 | 1.24以上 |
リジン | % | 0.90以上 | 0.63以上 | 1.20以上 | 0.83以上 |
メチオニン | % | 0.35以上 | 0.33以上 | 0.62〜1.50 | 0.20〜1.50 |
メチオニン+シスチン | % | 0.70以上 | 0.65以上 | 1.10以上 | 0.40以上 |
フェニルアラニン | % | 0.83以上 | 0.45以上 | 0.52以上 | 0.42以上 |
フェニルアラニン+チロシン | % | 1.30以上 | 0.74以上 | 1.92以上 | 1.53以上 |
トレオニン | % | 1.04以上 | 0.48以上 | 0.73以上 | 0.73以上 |
トリプトファン | % | 0.20以上 | 0.16以上 | 0.25〜1.70 | 0.16〜1.70 |
バリン | % | 0.68以上 | 0.49以上 | 0.64以上 | 0.62以上 |
脂肪 | % | 8.5以上 | 5.5以上 | 9.0以上 | 9.0以上 |
リノール酸 | % | 1.3以上 | 1.1以上 | 0.6以上 | 0.6以上 |
αリノレン酸 | % | 0.08以上 | - | 0.02以上 | - |
アラキドン酸 | % | - | - | 0.02以上 | 0.02以上 |
EPA+DHA | % | 0.05以上 | - | 0.012以上 | - |
リノール酸+アラキドン酸︰αリノレン酸+EPA+DHA | 30:1 | 30:1 | - | - | |
カルシウム | % | 1.2〜1.8 | 0.5〜1.8 | 1.0以上 | 0.6以上 |
リン | % | 1.0〜1.6 | 0.4〜1.6 | 0.8以上 | 0.5以上 |
カルシウム︰リン | 1:1〜2:1 | 1:1〜2:1 | - | - | |
カリウム | % | 0.6以上 | 0.6以上 | 0.6以上 | 0.6以上 |
ナトリウム | % | 0.3以上 | 0.08以上 | 0.2以上 | 0.2以上 |
塩素 | % | 0.45以上 | 0.12以上 | 0.3以上 | 0.3以上 |
マグネシウム | % | 0.06以上 | 0.06以上 | 0.08以上 | 0.04以上 |
鉄 | mg/kg | 88以上 | 40以上 | 80以上 | 80以上 |
銅 | mg/kg | 12.4以上 | 7.3以上 | 15.0以上 | 5.0以上 |
銅(ウェット) | mg/kg | - | - | 8.4以上 | - |
マンガン | mg/kg | 7.2以上 | 5.0以上 | 7.6以上 | 7.6以上 |
亜鉛 | mg/kg | 100以上 | 80以上 | 75以上 | 75以上 |
ヨウ素 | mg/kg | 1.0〜11 | 1.0〜11 | 1.8〜9.0 | 0.6〜9.0 |
セレン | mg/kg | 0.35〜2 | 0.35〜2 | 0.3以上 | 0.3以上 |
ビタミンA | IU/kg | 5000〜250000 | 5000〜250000 | 6668〜333300 | 3332〜333300 |
ビタミンD | IU/kg | 500〜3000 | 500〜3000 | 280〜30080 | 280〜30080 |
ビタミンE | IU/kg | 50以上 | 50以上 | 40以上 | 40以上 |
ビタミンK | mg/kg | - | - | 0.1以上 | |
ビタミンB1(チアミン) | mg/kg | 2.25以上 | 2.25以上 | 5.6以上 | 5.6以上 |
ビタミンB2(リボフラビン) | mg/kg | 5.2以上 | 5.2以上 | 4.0以上 | 4.0以上 |
パントテン酸 | mg/kg | 12.0以上 | 12.0以上 | 5.75以上 | 5.75以上 |
ナイアシン | mg/kg | 13.6以上 | 13.6以上 | 60以上 | 60以上 |
ビタミンB6 | mg/kg | 1.5以上 | 1.5以上 | 4.0以上 | 4.0以上 |
葉酸 | mg/kg | 0.216以上 | 0.216以上 | 0.8以上 | 0.8以上 |
ビオチン | mg/kg | - | - | 0.07以上 | 0.07以上 |
ビタミンB12 | mg/kg | 0.028以上 | 0.028以上 | 0.02以上 | 0.02以上 |
コリン | mg/kg | 1360以上 | 1360以上 | 2400以上 | 2400以上 |
タウリン(ドライ) | % | - | - | 0.1以上 | 0.1以上 |
タウリン(ウェット) | % | - | - | 0.2以上 | 0.2以上 |
このように、ドッグフード・キャットフードそれぞれに規定された成分規格に沿った検査が必要です。
ビューローベリタスエフイーエーシーでは、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC:Food and Agricultural Materials Inspection Center)の「愛玩動物用飼料等の検査法」にしたがって、ペットフードの成分規格検査(必須20項目)を受託しています。
またAAFCOが設定している総合栄養食としての栄養基準に対応した検査を実施しています。パッケージ以外でも、栄養素の追加やカスタマイズも承っていますので、ご相談ください。
→ ペットフード検査(ビューローベリタスエフイーエーシー)
ペットフード安全法などペットフード検査に関する詳しいFAQ集はこちらをご覧ください。
→ ペットフードFAQ集
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