ペットフード~食物繊維と粗繊維の違いと検査方法~

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食物繊維とは、食物中に含まれた「動物の消化酵素では分解・消化されない難消化性成分」のことです。
言い換えると食べても吸収されず、ほとんど栄養やエネルギーにならない成分ということになりますが、一方で、整腸や肥満対策、血糖値抑制などの効果がわかっています。これは人間以外に犬・猫などのペットも同様です。

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繊維は、ペットフードの原料として使われるトウモロコシ、小麦、大麦などに含まれています。また最近では、ペットの健康のため、小麦フスマやビートパルプなどを追加配合するフードも見かけます。

ペットフードは、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)で、水分、粗タンパク質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分の5成分についてパッケージへの表示が義務付けられています。
このようにペットフードでは食物繊維は「粗」繊維としてパッケージに表示されますが、粗繊維=食物繊維ではありません。

食物繊維と粗繊維の違いと、検査方法をお伝えします。

 

食物繊維と粗繊維

食物繊維

食物繊維は、野菜類、穀類、豆類、きのこ類、いもおよびでん粉類に多く含まれています。
食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維があります。

水溶性食物繊維

果物や野菜に含まれるペクチン、コンブやワカメなどのアルギン酸などがあります。
水溶性食物繊維には、食後の血糖値上昇の抑制や、血中コレステロール値の低下、高血圧・肥満予防などの効果があります。

不溶性食物繊維

植物の細胞壁を構成しているセルロースやヘミセルロース、リグニンなどがあります。
不溶性食物繊維には、便通を整え便秘予防の効果があります。

粗繊維

粗繊維とは、食品やペットフードあるいはそれらの原料を希硫酸および希アルカリ溶液で順次煮沸し、エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄した残りの有機物のことです。
主には、不溶性食物繊維であるセルロース、リグニン、ヘミセルロースなどがあります。

水溶性食物繊維は粗繊維には含まれません。また粗繊維となる工程で、不溶性食物繊維(セルロース、リグニン、ヘミセルロース)も半分以上が分解されるため、食物繊維の半分程度となります。

検査方法

食物繊維

食品全般が検査の対象となります。今回は酵素-重量法による検査方法を紹介します。

試料を酵素処理することにより、でんぷんおよびたんぱく質を消化して低分子化した後、エタノールを加えて上澄み中の高分子成分を不溶化・沈殿させます。ろ過により残留物(食物繊維を含む)と、ろ液に分けます。残留物をエタノールおよびアセトンで順次洗浄し、乾燥して重量を求め、食物繊維量とします。ただし、乾燥残留物中のたんぱく質および灰分を定量し、補正します。

検査の流れ

  1. 試料摂取

  2. 酵素処理(α-アミラーゼ、プロテアーゼ、アミログルコシダーゼ)

  3. エタノールを加えて沈殿

  4. ろ過

  5. 洗浄

  6. 乾燥

  7. たんぱく質・灰分の定量

粗繊維

飼料全般が検査の対象となります。

試料を酸およびアルカリ処理し、ろ過により残留物(粗繊維を含む)を得ます。残留物をエタノールおよびジエチルエーテルで順次洗浄し、乾燥して重量を求め、粗繊維量とします。ただし、乾燥残留物中の灰分を定量し、補正します。

検査の流れ

  1. 試料摂取

  2. 酸(硫酸)・アルカリ(水酸化ナトリウム)処理

  3. ろ過

  4. 洗浄

  5. 乾燥

  6. 灰分の定量

このように検査方法の違いにより、食物繊維は水溶性食物繊維および不溶性食物繊維が測定できますが、粗繊維は不溶性食物繊維のみの測定となります。

ビューローベリタスエフイーエーシーでは、表示必須5項目の分析を行っています。また可溶性無窒素物(NFE)を加えた6成分検査にも対応しています。お気軽にご相談ください。

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参考文献

→ ペットフードの検査